WHO国際保健機構は岩中から発生する放射性の
気体ラドンについて、2005年に警告を出している。
喫煙習慣のある人がラドンを吸うと、肺ガンになる
確率が高まる。対処法は換気を良くすること。
特に地下室や１階は、地中から出るラドンを貯めな
いことに留意すべし、という事らしい。
　ラドンはラジウムが崩壊してできる。ラドン222の
半減期は3,8日。

　墓石などに使われる花崗岩は、白い長石と透明な
石英と黒い雲母から出来ている。この結晶の間に、
しばしば褐簾石（カツレン石）という茶色の結晶が
入り込むそうで、これは放射線を出す。
　花崗岩が風化して砂になり、白砂の海岸を作り出
す一方で、カツレン石も水に流され、堆積していく。
　あるところにたくさん堆積すれば、そこの放射線量
は多くなる。そんなところが偶然岩肌に現れたとした
らどうだろう。
　新月の夜の、真の闇があった時代には、人間もその
微弱な発光を見たかもしれない。

　ところで鎌倉の山には花崗岩は無い。砂岩と泥岩と、
凝灰質砂岩だ。とはいえ、砂が堆積したのが砂岩なの
だから、その砂は火成岩が砕けたもの。成分はマグマ
由来なのだ。凝灰岩は火山噴出物だから、結晶がごく
小さく、軽い成分ではあるけれど、石英や雲母が混在
する。だから、それで、昔々、
鎌倉の山は放射性の燐光を発したか？どうか。

　もし光る岩があったとしたら、その岩はそっくりく
り貫かれて、どこかへ持って行かれただろう。そして
発見した人が驚いた程には光らなかった為に、捨てら
れて忘れ去られたかもしれない。鎌倉の廃寺の谷、
夜光山の名前は、そんな想像をさせる。

　頼朝の長女大姫は、病気の治療にたびたび亀ケ谷
に逗留したそうだ。
　後に建長寺が出来ると、ここは病気になった僧侶の
静養所、延寿堂になる。
　戦後にはここにある鉱泉を使って、温泉宿が出来ている。
　そんな亀ケ谷切り通しの南の山が、夜光山梅嶺寺のあ
った所だ。ここに夜光る岩があったと思いたい。
　修験者がこの地を大姫の療養に薦めたと思いたい。
そういう土地の記憶が引き継がれて、今に至っていると
思いたいのだ。
　
　 ＊＊＊亀子＊＊＊
（22 Jun.2007-14 Jun.2012)