北鎌倉には ネストというステキなギャラリー
があって、自然食のランチが美味しい。このお
店では会員制の月見の会が催されていて、真向
かいの円覚寺の瑞鹿山からのぼる大きな月を楽
しんでいるらしい。

　では円覚寺側から見たら、どうなのか。
「多摩の横山」を小さく箱庭にした様な台山は、
ちょうどプラネタリウムの下に描かれる夜景の
様に、星の位置を測るのにちょうどいい。
「あの大きい松の枝の上」とか、「あの神社の
灯籠の灯りの真上の星」とか、定点観測には都
合がいいだろう。円覚寺さんだったら、台山に
沈む夕日を眺めるのにぴったりだ。たとえば臥
龍庵の真西には山仲稲荷の灯明が見えただろう
し、総門の真西には台の稲荷神社が見えただろ
う。八雲神社の山の中腹にある桜のある謎の空
き地からは、台の神明社が真西だ。
参照：17.円覚寺瑞鹿山の端

　12月から５月まで、オリオンの三ツ星が沈む
のはそんな目印のある真西だ。その同じ時間に
（12月なら明け方５時頃、５月なら夜８時頃）
三ツ星が指す右手、台山の嶺に平行にスバル星
がある。昴宿と言って金鶏で表され、６つの星
がぎざぎざに連なった星座だそうだ。

　その星座を真似て、北鎌倉の台の神社は並ん
でいる。まずは北鎌倉駅前交番の近くの山仲稲
荷、次に線路を渡って八雲神社、また線路を渡
って稲荷神社、また線路向こうの小八幡、さら
に山崎小学校のそばの神明神社、そして非常に
残念ながらビルが建って遮られたけれど、神明
神社の真向かいの厳島神社。この六社だ。

　昴宿の形と少し違っている。多分それは遠近
法を逆さに使って、手前は狭く、遠くは広くす
ることで、昴宿の形を作っているのだと思う。

　つまり、ある所から、ある角度で、神社の常
夜灯の連なりを見た人が居たということだ。
　そしてその人の正面、北西にはスバルが玉縄
の山頂に沈むことになる。地上に６つの灯火、
天上にスバル。なんとステキな設計だろう！

　円覚寺も６つの神社もスバル星も、変わらず
に今も在る。すぐにでも行って観てみたいけれ
ど、２１世紀の夜空から星は追放されて、ヨコ
ハマの夜景の反射光が星の無い明るい空を作っ
ていて、スバルだって見えないのだった。

参照：若狭　おおい町　名田庄暦会館
安倍晴明に関連して昴宿の図と金鶏を見る事が
出来ます。キーホルダーの絵です。

追記：台の神明神社にはピカソが描きそうなか
っこいい金鶏が掛かっています。大好きです。
金鶏といえば天照大神の太陽を表すのが通例で
すが、私的にはスバルです。

　
　 ＊＊＊亀子＊＊＊
（7 Jul.2007 - 6 Jun.2012)