鎌倉、まぼろしの風景。235

　このホームページはfc2だけど、来年からアップデートの様式が一つになるらしい。
　その書き方に私がついていけるか心もとない。ホームページは更新できなくなるかもしれない。
　ブログはタグを使いこなせば、便利なものらしい。
　忘備録としてブログを活用したいが、ブツ切りのブログでは不安も多い。

　7月に出版した「織姫星と鎌倉」は、鎌倉市雪ノ下の2店、銀の鈴ギャラリーと邦栄堂書店で売っている。
　それ以外の在庫は抱え込んだままだ。
　この本の上に、今の私のお話が続くのだから、もっと売らなければと思うけど、やりたいことは他にあって。

　夏目漱石を語りたい。
　チグリス川と熊野神社のお話を書きたい。
　黒川能と頼朝の話を書きたい。
　修験の星を語りたい。
　各地の地形を逐一挙げて、星の景観だと提案したい。

　そんな中で大分県竹田市に招かれて鎌倉市台にあった廃寺東渓院を語る栄誉を得た。
　育ててくださった鎌倉の方々と、迎えてくださった竹田の方々に感謝申し上げます。
　憧れの竹田で、大分市から来てくださった郷土史研究の方と出会った。
　なのにいただいた名刺を無くしてしまう。すみません。
　もしご覧になっていたら、メールをいただきたいです。

　それで「キリシタン」と「星」は、
語ることを許されなかった大きな文化土壌として、
今では一緒になっている。今でも一部では、語ることを憚られる。

　お話会をやめて書くことを続けたいと思った。
　私にとって書くべき事がたくさん有る。そして面白がってくださる方がいる。
　休まないで続けたい。
★★★★★★★★★★★★

235.霜月祭のヘンバイと星

　遠山郷観光協会のHP「信州遠山郷　とおやまごう秘境の旅」に、霜月祭の詳しい説明がある。
　「本祭」があり「湯立て」があって、深夜の２時を過ぎてから「面　おもて」が始まる。
　明け方まで続いて「直会」解散になる。天白様という星神も登場する。
　
　「信州遠山郷」から引用する。
「全国の神々を送り返した後で、村内に祀られる神々が登場します。舞手は神殿前で面をつけ、舞殿に登場すると時計回りにかまどを一周します。」
「八重河内に伝わる霜月祭の古文書によれば、水王（みずのう：小天伯）、火の王（大天狗）は八芒星の軌跡を描くように湯釜の周りを踏んでいました。」
このステップが陰陽道の呪法のひとつ「反閇　へんばい」で、六方と言うのだそうだ。

霜月祭のステップ　　（原図：桜井弘人氏　）

右下に１、２とある。ここから回り始めるのだろう。
　１は左足。２は右足。次の３は右足。４は左足。
　左右ー右左ー左右ー右左。
　八芒星を描くと書かれている。

　国の重要無形民俗文化財になっている岩手県北上市の「鬼剣舞　おにけんばい」は鬼の面を着けて八人の青年が舞う。
　リーダーは白い面を着けた大威徳明王で、天白様ではない。しかしこれも八芒星を表していたのだろうか。

　八芒星に見えるかもしれないが、私にはカシオペヤ座に見える。
　北の空に北斗七星と対面にある星座だ。W字にもM字にも見える。

　今年７月に出版した「織姫星と鎌倉」は、直線道と星の景観を語った本だ。
　直線道は歩く為の道ではなく、方位を知らせる天文施設である、という提案のもとに、
　春夏秋冬の夕べに見える星と、それを見る直線道の向きを記したものだ。
　北斗七星が北北西にある夕べを秋、北の地平線低くあるときを冬、北北東に立つ夕べを春として分けて書いた。
　ところが途中からカシオペヤ座が指標として重要なことに気づく。
　それで第九章から「荏柄天神社とアンドロメダ銀河」と題して、星図５を付け足したのだ。
　そこからチグリス川とカシオペヤ座が重なる景観に移って、熊野神社という大きい世界に直面する。
　これは語りきれないと感じて、本はそこで終わっている。
　第十三章「星空の古事記」を、結論として添えて本を終えたのだ。

　指標を北斗七星からカシオペヤ座に移してみる。
　北北西にカシオペヤ座がある夕べを春、
　北の地平線低くあるときを夏、
　北北東に立つ夕べが秋になる。
　天の北極（玄天）を中心に四季の夕べのカシオペヤ座を４つ描くと、この上記の八芒星の図になる。
　実際の星空は、春夏秋冬と廻れば、反時計回りになる。
　だけれど、陰陽師達は宇宙の外から天球を見た図を使う。鏡に反転した星座の図を使うのだ。
　星は直接見ない。水面に映して反転させて見ていたのだ。
　だから実際のカシオペヤ座の廻りは、鏡面ではこの図のように時計回りになる。

　霜月祭の六方はカシオペヤ座を表している。

　この驚きは拙著「織姫星と鎌倉」での提案を勇気づける。
　春は諏訪星（カノープス）の南中を知らせる図。カノープスは天之常立神（あめのとこたち）。
　夏は天の川(豊雲野神）が地平線を取り巻いて、出雲八重垣状態になり、スサノオが妻籠みしている時。
　南十字星（葉室星）が南中して、摩多羅神が笑っている時。
　秋は織姫星（天之御中主神　あめのみなかぬし）が天頂にあって、各地の祇園社の参道の先に天王星（アンタレス）が来る時。

　この星の景観をカシオペヤ座の四相で表現している。それが六方だと思う。
　神楽のステップで表されたプラネタリウムである。

　再び「信州遠山郷」から引用する。
「伊勢神宮には、天白が星の神であることを如実に表す「てんはくのうた」という神楽歌が伝わっています。」

いや天白御前の遊びをば
いや雲をわけて遊ぶなり
いや星の次第の神なれば
いや月の輪にこそ舞い給え
いや紫の八重雲わけて下り給う
いや天白御前に遊び参らん

　この天白様は瀬織津姫（せおりつひめ）、こと座のベガ、織姫星だという。
　ここでは天白御前は美しい女神だ。

　「遠山地方では、天白様は天狗の神様であるとされ、親しまれている一方で祟りやすい、恐ろしい神であるともいわれています。織姫様と天狗様ではまったく無関係のように思えますが、実はこの「天狗」もまた星と縁が深いのです。」

　＜宇宙の中心にあって古事記の一番始めにあらわれる神は天之御中主（あめのみなかぬし）。
　この神はハクチョウ座の中心にあったけれど平安時代に消えてしまって、猿田彦（天狗）に名を残している。
　奈良時代に中国からシュメール由来の天文学が輸入されて、南極星は諏訪星、古い北極星は織姫星と変わった。
　縄文時代の北極星である織姫星が天之御中主になったのだ。＞

　この仮説を、鹿島神宮の神職の一族だった真鍋大覚先生の本「儺の国の星」に示唆されて、書いた。
　「織姫星と鎌倉」ができあがった。
　どうかこの本を読んでいただけたら、幸いです。CMでした。

　