鎌倉、まぼろしの風景。82 
鎌倉、まぼろしの風景。

          
     イメージの翼に乗って中世+近世鎌倉を妄想するページ。

星座早見盤と地形図を持って、鎌倉の地上の星座を探検中です。


柏尾川


:::::目次:::::

:::Top最新のページ:::

・・・地図上の直線
地図に線を引くとわかる設計
(ランドデザイン)

・・・地上の星座
天体の運行を取り入れた景観

:::1.天平の星の井19Apr:::
:::2.虚空蔵菩薩堂:::

3.霊仙山20Apr:::

:::4.飛竜の都市:::
:::5.分水嶺:::

6.道の意匠:::

:::7.修験道の現在形:::

:::8.鎌倉の白い岩:::

:::9.セキサンガヤツ:::

10.若宮大路のカレンダー:::

11.神奈川県の鷹取山:::

12.鎌倉の正三角形:::

:::13.鎌倉の名の由来:::
:::14.今泉という玄武:::

:::15.夜光る山:::

:::16.下りてくる旅人:::

:::17.円覚寺瑞鹿山の端:::

:::18.鎌倉の獅子(1):::
:::19.望夫石(2):::
:::20.大姫の戦い(3):::

21.熊野神社の謎:::
22.熊野神社+しし石:::

23.北鎌倉の地上の昴:::

24.ふるさとの北斗七星:::

25.労働条件と破軍星:::

26.北条屋敷跡の南斗六星:::

:::27.星と鎌と騎馬民 :::

28.江の島から見る北斗と昴 :::
29.由比ケ浜から見る冬の星 :::

:::30.鎌倉の謎(ひと休み) :::

31.御嶽神社の謎:::

32.塔の辻の伝説(1) :::
33.昇竜の都市鎌倉(2):::
34.改竄された星の地図(3):::
35.すばる遠望(小休)(4):::

36.長谷観音レイライン:::

37.星座早見盤と金沢文庫:::

38.鎌倉の墓所と鎮魂:::

39.ふるさとは出雲:::

40.義経の弔い:::

41.「塔の辻」の続き:::

42.子の神社:::

:::43.松のある鎌倉(1):::
:::44.星座早見盤と七賢人(2):::
:::45.山崎の里(3):::
:::46.おとうさまの谷戸(4):::
:::47.将軍のいましめ(5)井関隆子:::

:::48.ふたつあることについて:::

:::49.万葉集の大船幻影(休憩):::

:::50.たたり石:::

:::51.鎌倉の十三塚:::

52.陰陽師のお仕事:::

53.坂東平氏の大三角形と星:::
54.大船でみつけた平将門:::

55.神津島と真鶴:::

56.鷹取山のタカ
(八王子市と鎌倉市)
:::
57.鷹取山のタカ2(鷹の死):::
58.鷹取山のタカ3(宝積寺):::

:::59.岩瀬、伝説が生まれた所:::

60.重なり合う四神:::

:::61.洲崎神社:::
:::62.語らない鎌倉:::

:::63.吾妻社:::

64.約束の地(小休):::

65.若宮大路の傾き(星の都1):::
66.國常立尊(星の都2):::
67.台の天文台(星の都3):::

68.鎌倉の摩多羅神:::

69.地軸の神(星の道1):::
+++おわびと訂正+++
70.鎌倉と姫路(星の道2):::
71.頼朝以前の鎌倉(星の道3):::

72.環状列石のしくみ
(五芒星1)
:::
73.環状列石の使い方
(五芒星2)
:::
74.関谷の縄文とスバル
(五芒星3)
:::

75.十二所神社のウサギ:::

:::76.針摺橋:::

77.平安時代のジオラマ:::

78.獅子巌の四神
(藤原氏の鎌倉)
:::

79.亀石によせる:::

80.山頂の古墳:::

:::81.長尾道路の碑
(横浜市戸塚区)
:::

82.柏尾川 天平の大船幻想1 :::
83.玉縄 天平の大船幻想2 :::
84.長屋王 天平の大船幻想3 :::
85.万葉集と七夕 天平の大船幻想4 :::
86.玉の輪荘 天平の大船幻想5 :::

:::87.実方塚の謎(1)
鎌倉郡小坂郷上倉田村
:::
:::88.戸塚町の謎(2)
鎌倉郡小坂郷戸塚町
:::
:::89.こぶた山と雀神社(3):::
:::90.雀神社の謎(4)
栃木県宇都宮市雀宮町
:::
:::91.実方紅雀伝説と銅(5)
茨城県古河市
:::

:::92.北鎌倉の悲劇:::

:::93.こぶた山と奈良東大寺:::

:::94.王の鳥ホトトギスとミソサザイ:::
:::95.悪龍と江の島:::

96.海軍さん通りの夕日:::

▲★97.今泉不動の謎:::
98.野七里:::
99.染谷時忠の屋敷跡:::

100.三ツ星とは何か
(またはアキラについて)
:::

:::48.ふたつあることについて:::
101.亀の子山と磐座、火山島:::
102.秦河勝の鎌倉:::
103.由比若宮(元八幡):::
104.北鎌倉八雲神社の山頂開発:::
105.北鎌倉 台の光通信:::
106.鎌倉の占星台:::
107.六壬式盤と星座早見盤:::
:::108.常楽寺 無熱池の伝説:::
:::131.稲荷神社の句碑:::
:::132.鎌倉に来た三千風:::
:::146.幻想の田谷 横浜市栄区田谷:::
150.鎌倉 五芒星都市:::
158.第六天社と安部清明碑:::
159.桜山の朱雀(逗子市):::
160.双子の二子山と寒川神社:::
:::161.ゴエモンの木:::
:::134.ここにあるとは 誰か知るらん:西郷四郎、会津と鎌倉:::
:::166.防空壕と遺跡(洞門山の開発):::

167.地上の銀河と星の王1(平塚市):::
168.地上に降りた星の王2
(鹿嶋神宮、香取神宮、息栖神社)
:::
174.南西214度の縄文風景(金井から星を見る):::

::: 175.おんめさま産女(うぶめ)伝説 (私説):::
176.おんめさまとカガセオ:::

177.南西214度の縄文風景 2
(大湯環状列石とカナイライン)
:::

178.御霊神社と鎌倉
(南西214度の縄文風景3)
:::

179.源頼朝の段葛とカガセオ
(南西214度の縄文風景4)
:::

::: 184.鎌倉の小倉百人一首:::

::: 185.鎌倉の小倉百人一首 2:::

:::156.せいしく橋の伝説:::
:::109.北谷山福泉寺の秘密:::
:::192.洞窟と湧水と天女:::
:::198.厳島神社の幟旗:::


資料集

きっかけ

はじめに

メール* 亀子
ブログ:鎌倉、まぼろしの風景(ブログ)


柏尾川(天平の大船幻想1)          

   叔父はカメラマンだった。占領下だった戦後の
日本も、60年代になると、海外旅行が出来る様
になった。おじさんは仕事でソビエトのシベリア
へ向かった。石油会社の宣伝映画を作るためだっ
た。
 空から地上を見て、何が見えるのか、おじさんは
興味津々だった。山が見えるのか、都市が見える
のか。人の作った道が見えるのか。
 帰国して、おじさんは私に話した。「空から見ると、
海も陸も山も、みんな同じに見えたよ。ただ茫々と
広がっているだけだ。街も道もそんなものは小さす
ぎて、見えないんだ。ただ川だけが、光って見えた。
空を反射して、ギラギラと、蛇行する姿をくっきりと
見せていたよ。」

 都市に住むと、川とは縁が薄くなる。多くは暗渠に
なり、橋は道路と境目無く続き、よほどの大きさの
川でないと、その存在にさえ気づかない。
 それで、おじさんは発見したのだ。大地には川が
あるのだと。私は子供だったけど、その言葉の熱
さを、ずっと覚えている。

 日本に住む人が星を祭ったのは、文字の無い古い
古い時代からだっただろうと思う。
参照:72.環状列石のしくみ(五芒星1)ー(3)

 それが文字になり整理された宗教、あるいは最新
科学として中国から伝わったのは遣隋使の時代だ。
道教の聖地は、中国の泰山という山寺だそうだ。
 山東省の泰安市にある1,545mの山である。泰山
の歴史に私は詳しくないけれど、中国の地図を見て
わかる事も在る。泰山の北には黄河が流れていて、
渤海にそそいでいる。泰山の寺から見れば、北向きの
風景の中に、南西から北東へと川は流れていくのだ。
昼は太陽の下で光り、夜は満天の星を川面に映して
光るだろう。北向きの風景は逆光にならないから、独特
の美しさがある。その河の南には山東省の省都の済南
市があって、ここは黄河文明の中心地なのだそうだ。
 現在の市街地の下から、殷の時代の都市遺跡が出る
のだそうだ。

 そしてその黄河が地平線に消えるあたりへ、空に流れ
る星の川、天の川が流れ落ちている。地上の黄河を鏡
に映したように、同じ斜めの向きに天の川が流れている
のは、七夕の夕方の頃である。天の川が全天に広がっ
て空を横断していて、一年で一番美しい頃だ。星座早
見版を回して、その横断する天の川を観賞してみた。

 七夕の祭りは、織り姫星を祀ることにある。と、思う。
星は一つだけを見たのでは何の星かわからない。星座
なり、天の川なり、位置関係を示す目安がないと識別
できない。だから牽牛星と天の川が必要だ。でも、主役
は織り姫星。こと座のベガである。これは1万3千年前の
北極星なのだ。

 たなばたの祭りが、漠然としてよく分からないのは、その
意味が失われたからだろう。
 はるかな昔の人は、子供に語ったのだ。あの星が、昔々
北極星だったんだよ。と。今は地軸の位置に何も星が無
いけれど、ずっと前は、あの星が中心だったんだ。と。
 いつかまた、時が過ぎて、あの星を中心に全天が廻る、
そういう時代がくるんだよ。と。
 それを聞いて育った子供は、生き方が少し柔らかくなる、
かもしれない。
 そしてこと座のベガが北極星になる時は、今から1万2千
年後のことなのだ。
参照:66.國常立尊(星の都2)

 地軸が指す天の北極のあたりで、一番明るい星が織姫星
ベガである。0,03等で、全天で5番目に明るい恒星だ。
地軸の歳差運動は、ベガから今の位置に動いて、またベガ
に戻る。それを伝える星の祭りが、アジアの環太平洋岸で、
広まっていたことに、私はとても感動する。人間の英知は、
太古も今も変わらない。

 中国では、星を祭るのは皇帝の仕事だった。文字の無い時
代の、かつての技術を、統治者が独占したのだ。ベトナムの
王様は中国の皇帝にばれない様に、こっそりと星を祭ったの
だそうだ。二人目の王が並び立つことを謀反という。かも知
れない。近隣の王は、中国の国力をとても恐れながら、そし
て自国の独立を心に誓ったのだろう。

 中国と同じ様式で天を祀ったのは、日本ではいつからなの
だろう。有名なのは桓武天皇が交野で郊祀を行ったと言う
続日本紀の延暦4年(785年)11月の記録である。
 天の川と同じに北東から南西へと、交野の北には淀川が流
れている。その泰山の位置に交野があって、ここで星を祭った
のだそうだ。延暦4年(785年)の冬至の日は、フリーソフトの
stellarium ステラリウムによると、太陽の左に水星と土星と
金星が並んでいる。昼間に金星が見えたのだ。

 古来から昼間に金星を見ることについて、様々な伝承がある
らしい。太陽が出ているのに、小さな太陽(金星)がこっそり出
ていることは、王位を狙う二人目の王、ということで、日本では
あまり良い意味を与えられていない。それは王の側から見た
表現で、王の圧政から逃れようとする者には、また別の意味
があっただろう。

 金星はッ4等の明るさで、夕方あるいは明け方に眩しく輝く。
誰でも見ることの出来る夜の金星ではなく、天体の動きを良
く知っている天文博士が、昼間に、あの位置にと指差して、
並み居る群臣の中、たった一人だけこっそり肉眼で金星を見
る。たとえば次期の王者となる者が、空に潜む金星を見ること
は、何か心理的な効果があるのだろう。

 儒教の考えによると、南に天を祀る円い天壇を作り、その真北
に地を祀る四角い地壇を築くのだと言う。その郊祀は、皇帝の
即位のときに必要な行事らしい。
 桓武天皇の時代に当てはめれば、交野の北に地壇に当る四角
い長岡京が作られていた。その長岡京の中心を通る南北線は、
東経135度42分22秒で、京都の石清水八幡宮を通り、交野を
通って龍王山の山頂にぴったりあたる。この山が円壇なのだ、と
思う。そして、ここ龍王山が泰山なのだ。と、思った。
 中国の王から離れて、日本の王権を宣言したのだろうか。

 1万3千年前の北極星ベガが、頭上に輝く時、天の北極の位置
(太一)に長岡京の太極殿があり、龍王山の位置に南斗六星が
ある。そういう星祭りを、桓武天皇は夏至の頃にやったのかもし
れない。郊祀の天の祭りは冬至の頃なのだそうだけれど。

 七夕の天の川と平行に流れる黄河。黄河と同じ傾きの淀川。
さらにたくさんの川が、この例に並ぶ。地図を見れば一目瞭然だ。
秋田県角館の雄物川。福島市の阿武隈川。新潟市の信濃川。
岩手県八戸市の馬淵川。富山県南砺市の五箇山の庄川。
山形県米沢市の最上川。和歌山市の紀ノ川。姫路市の市川。
京都府の鴨川。鎌倉市の滑川。そして鎌倉市の柏尾川。

 その多くは、北辰信仰のあった江戸時代に整備された街だと思う。
でも、川の向きを選んで町を作ったのは、もっとずっと古い時代だと
思うのだ。

 川は龍のように、蛇の様に蛇行して流れる。空にある銀河が一年で
一番きれいに見える時期の、たなばたの暮れ時に、空と大地の川が
そろう。そんな風景を愛でる南の高台に、泰山に模した山があり、川
の北に天の北極に比べられる都市がある。そんなデザインが日本中
にたくさんあるのだと思った。
そして大船の柏尾川も、その一つなのだ。と、思う。

追記:お近くの川が、北東から南西に流れていない場合でも、大丈夫。
天の川の冬至の空バージョンがあります。
こちらは北西から南東に流れている川が当てはまります。千葉県銚子
市を流れる利根川などが該当します。
冬至の頃の夜更けに、スバル星が頭上高く上がると、北北東に北斗が
鎌首を持ち上げた蛇の様に上がってきます。南東にはオリオンの三ツ星
があり、細く薄い天の川が見れるはずです。川の北が天の北極。川の南
がスバルです。天の北極に当る屋敷跡と、スバルにあたる神社がないか、
地図から探すのも面白いと思います。

ちなみに、銚子とは、柄の長いお酒を注ぐ酒器だそうです。お雛様の三人
官女の右の人が持っています。銚子にお酒を補充するのが、左の官女が
持っているバケツ型の酒器だそうです。柄の長い北斗七星と小さい小熊座
に見えませんか?中心の杯を掲げる官女は、天の北極の太一に当るんです
ね。(笑)

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  ***亀子***( 6 Apr.2008)
 
     

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