鎌倉、まぼろしの風景。

     イメージの翼に乗って中世鎌倉を妄想するページ。

:::::目次:::::

:::Top:::

:::1.天平の星の井19Apr:::

:::2.虚空蔵菩薩堂:::

:::3.霊仙山20Apr:::

::: 4.飛竜の都市23Apr:::

:::5.分水嶺25Apr:::

:::6.道の意匠27Apr:::

:::7.修験道の現在形29Apr:::

:::8.鎌倉の白い岩:::

:::9.セキサンガヤツ:::


知る者は言わず
言う者は知らず
《老子》






資料集


きっかけ


はじめに


飛竜の都市

     
   いま流行の風水というのは占いで有名だけれど、元は山や川の地勢を観る
  学問だったようです。風水師は山の形や川の流れから、日照や風向のありさ
  まを読み取って都市計画をたてたり、耕作地を決めたり治水事業に助言して
  いた頭脳集団だったのかもしれない。
   京都は風水で守られるよう設計された都市だといいます。四神水明の地と
  言って、北に玄武(黒い山)東に青龍(青い河)南に朱雀(赤い窪地)西に
  白虎(山を越える白い街道)を備えた都市は長く栄えるのだそうです。
  都市を取り巻く山脈を竜に見立てて、その竜の水飲み場、竜口水にあたる場
  所(穴)に、泉や池が設けられています。京都で言えば神泉苑に当たるのだ
  そうです。
  そこは平安様式の庭園で池があって、古くからの雨乞いスポットでもあって、
  寿永元(1182)年に後白河上皇がここで雨乞いの神事を行った時、白拍子を舞
  った静は義経に見初められたのだそうです。

   では、鎌倉ではどうなるんでしょう。東京や京都が風水で守られた都市と
  は言いますが、鎌倉になると誰も語りません。鎌倉にも東に滑川があり、北
  には山脈を背負って、西には極楽寺坂が、南には相模湾があります。さらに
  真っ赤に火を吐く大島が南にあるのです。でも、街の中心に神泉苑に当たる
  場所は見当たらない。鎌倉が風水都市の例として語られないのは、中央を貫
  く若宮大路が真南に向かっていないために、例外として扱われているような
  のです。

   若宮大路が30度近く南西に傾斜している理由が、歴史書でもネットでも
  語られていないのです。
   こういう街は他にもあって、兵庫県姫路市も南西に傾斜した道を持つ街で、
  四神の居る風水都市なのです。南北に真っ直ぐな構造の京都と東京、北東か
  ら南西に傾斜している姫路と鎌倉、この組み合わせの謎は深まります。

   若宮大路が約30度傾いているのは、天台山衣張山ラインに合わせている
  からだと言う説を最近目にしました。鎌倉の北東にある天台山の山頂と、衣
  張山山頂を結ぶ線が、その若宮大路の傾斜と同じだというのです。地図で観
  ると正に平行線が、鎌倉の空中に引けるのでした。東の山脈のライン、中央
  の若宮大路のライン。そうなると西にも線を引きたくなります。3つで一つ
  を表すのは、古来からの信仰の形です。地図を眺めて、見つけました。大仏
  と長谷観音を結ぶ線というのはどうでしょう。まるで観光コースですが、北
  へ延長すると銭洗弁天を経て鎌倉最高峰の六国見山山頂へ、南へ延長すると
  虚空蔵菩薩堂と霊仙山の西を通って稲村ガ崎へ。ちょうど西の山脈と東の山
  脈にはさまれて、3本の平行線に沿って鎌倉の街があるようです。
   あるがままの山脈を読み取るのが風水だとしたらどうでしょう。
   京都の山脈は竜がとぐろを巻いて水を飲み、静まっている形。鎌倉の山脈
  は傾斜した稜線が飛竜のイメージ。茅ヶ崎、藤沢と、広々とした平野の東端
  に、むっくりと真緑の峯が飛ぶ竜のように横たわっている。それをイメージ
  した地理学に詳しい僧侶たちが、都市デザインとして長谷寺や高徳院、宇賀
  福神社を配置していく。どうでしょうか。

   藤沢市のHPには、腰越の沼にいたという人さらいの五頭竜についてこんな
  話が載っていました。「五頭竜は、天女に「死んでも私は山となって島と里
  人を守ります。」と告げ対岸に渡り江の島の方に向かって長々と横たわり一
  つの山なった。 これが現在の片瀬山で、竜の口のある場所が、現在の竜の口
  (たつのくち)であるという。里人はこの山を竜口山と呼び、五頭竜を祭っ
  た社(やしろ)を建てた。これが竜口寺の西隣にある竜口明神で、五頭竜の
  木彫りのご神体がおさめられ、今でも60年に一度の「巳年式年祭」の日には、
  おみこしに乗せて江の島へ渡り、天女の弁財天とあわせている。」
   竜は三つの玉を持っていると言います。中華街で竜が舞う時に、口元に玉
  があって、口を開けた竜が追いかける、そんな情景が浮かびます。その玉が
  江ノ島だったら。その江ノ島の無熱池が竜口水だったら。イメージはどんど
  んふくらみます。江ノ島から観る山並みが竜に見えるのだといういわれもあ
  りました。

   西の京都が静かに休まる吽形(うんぎょう)の竜だとすると、東の鎌倉は
  阿形(あぎょう)の竜。新しい時代の昇り竜を鎌倉の山脈に見たのかもしれ
  ません。 ***亀子***(23 Apr.2007-14 Jun.2012)

  追記:鎌倉の山並みは、私が思ったようには小さく収まらない大変なもので
  した。以下を「分水嶺」に繋げます。
     

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